寒い廊下を歩き続け、燦から少しでも離れようとした。
階段も何度昇って降りただろう。
生徒の声も先生の笑い声も風紀委員の挨拶も今のわたしには鬱陶しかった。
全てから離れたかった。
だけど、わたしの意思は長くは続かない。
「……寒い」
この地域にしては今年の冬は雪がたくさん降っている気がする。
ちらほらと雪が舞い始めている。
はあっと息を吐くと、白くなって廊下の空気に溶ける。
……図書館なら暖かいかもしれない。
誰もいないだろうし。
───バタン
……ん?何か今倒れた音がした。
きっと社会科準備室のドアに立てかけられていた地図でも倒れたのだろうと後ろを振り向いた。
でも、わたしの目の前に広がっていたのは、予想外の光景だった。
……何、これ。どういうこと?
何が起きたの?


