「燦、お金出すよ。
わたしが自分で欲しいと思ったものなんだから」
「は?何言ってんだよ。
これくらいプレゼントさせろよ」
「でも高いよ。
わたしだって出せるから大丈夫だよ」
「今日のこれ、何か分かっている?
今日はデートだろ。
これくらい俺が持って当然だろ」
「お客様、これでよろしいでしょうか」
最悪のタイミングで店員さんが入ってきてしまった。
ああ、わたしが自分で払うつもりだったのに。
店員さんが商品を手渡してくれる。
「よかったですね、紳士的な彼氏さんで」
その言葉にどきりとした。
一瞬心臓が止まったようになり、その直後に全身を血液がものすごい勢いで駆け巡るのが分かる。
ああわたしまた真っ赤だ。
店員さんの「ありがとうございました」なんてほとんど耳に入らなかった。
ふらふらとお店を出ると、燦に呼び止められた。


