燦が連れて来てくれたのは、クリスマスマーケットだった。
後から調べたところ、このクリスマスマーケットはとても有名なものだったらしい。
きっと燦はわたしをびっくりさせようとわざと会場の最寄り駅からひとつ離れた駅で降りたのだと思う。
だけどそんなことなど知らないわたしはただただ煌びやかな光景に驚き、燦に感謝した。
「ありがとう、連れて来てくれて」
「ん。いろいろあるから見たいもの見な。」
周りをぐるりと見渡すと、かわいらしいログハウスっぽい外装のお店が目に入った。
「あのお店に入ってみたい」
「ログハウスの?」
「うん。……あ、でも」
「でも?」
「ちょっと女の子っぽい……」
「いいよ、気にすんなよ」
「本当?ありがとう」
あまり気にしすぎると燦に申し訳ないからお店の中に気にしないように入った。
内装も外装に劣らずとても可愛らしかった。
特に窓際に置いてある陶器の小人や壁に飾ってあるヨーロッパらしい絵画が心を掴んだ。


