そして茜のピアスをつけるのを待つこと十五分。茜の口からは悔しげな声しか聞こえてこない。かなり苛立っているようだ。

「お〜い、茜？」

「うるさい！今話しかけないで！」

茜は指を震わせながらピアスを穴に入れようとする。しかし、うまくまた入れられない。そして一際大きい「痛ッ！」という声が聞こえた。

「ヤダ、失敗して血が出てきちゃった……」

茜の耳からは茜の言う通り血が少し出始めている。間違って変なところに入れようとしてしまったらしい。一樹はため息を一つつき、スマホを置いて立ち上がった。

「お前、めちゃくちゃ不器用だな。そんなやり方で入るわけないだろ」

一樹がそう言うと、茜は「じゃああんたはできるの？別にやってほしいとかそんなんじゃないけど！！」と顔を真っ赤にしながら言う。しかし、その目が何を訴えているのかは一樹にはよくわかる。

「しょうがねえな。ほら、ピアス貸せよ」

一樹は手を茜に広げる。茜は「は？」と首を傾げる。焦ったくなり、一樹は茜の手からピアスを取った。