「まあ、似合ってなくはねえよ?」

「何その言い方!素直に「世界一可愛いよ」って言いなさいよ〜」

「何だよ、世界一可愛いって!どこのラブラブカップルだよ!!」

ピアスをつけた茜は、背伸びをして一気に綺麗な大人の女性になったような気がした。とてもよく似合っているのだが、一樹は素直に「可愛い」と言えないのだ。

茜はファーストピアスが外れたことが嬉しかったらしく、セカンドピアスを常につけているのだが、つけるまでが大変なのだ。

今日は茜とドライブデートをする約束をしていて、一樹は車に乗って茜の家まで行った。茜は可愛らしい服を着てメイクも済ませてあったのだが、鏡の前から動けない。

「ピアスが全然入ってくれないから待ってて!別にあんたが待ちたくなかったらピアスなんてしなくていいけど?」

珍しくツンデレを茜は発動していた。一樹は「待っててやるよ。素直じゃねえな」とソファに腰を下ろす。茜から「あんたも素直じゃないでしょ!」と言われたが、一樹は無視した。