──キーンコーンカーンコーン
気づけば、5時半を告げるチャイムが響いていた。
…華ちゃんに酷いことをしたままだ。
早く音楽室に戻らなきゃ。
「でも…やっぱり無理だ…」
音楽室に戻って、華ちゃんにまた同じことを言われたら?
戻る自信はない。
「…どうしよう」
旧校舎の裏で膝を抱えていた。
上履きは泥と落ち葉で汚れてしまっている。
「渚ちゃん」
顔を上げると
先生が立っていた。
「せん、せい…」
「中学のこと、佐々木さんと今川さんから何となく聞いたよ」
「…ごめんなさい、部を混乱させてしまって」
私が謝ると
先生はぐっと私の腕を掴んで立ち上がらせた。
「…おい、なにめそめそしてんだ、このノロマ」
「っ?!酷い…!」
「そんなグズグズしてるとまた襲うぞ、いいのか」
「!!」
忘れてた、この人変態だった。
「…すみません、離してください…!」
「──いい音してるから」
「え?」
先生は私の腕を離すと、目合わせて言った。
「お前のシロフォン、いい音してる。だから、自信持って練習しろ」
「…先生…」
「……あと、柊が心配してたから、早く戻ってやれ」
「は、はい!」
私は先生に会釈して走り出す。
先生の大声が後ろから聞こえた。
「初めては柊に譲るよって伝えといて!」
意味はわからなかったけど、とりあえず
大声で返事をしておいた。
昇降口まで行くと、柊が待っていた。
「渚!良かった…ごめん、ずっと悩んでたんだね」

