「…これ、なんですか」
「ん?写譜だよ、5ページから10ページのトランペットの写譜、お願いね」
「はぁ…」
「返事は?」
「はいっ!」

せっかく柊とさっさと帰れると思ったのに…。
ちらっと先生を見ると、清々しい笑顔でこっちを見た。…やっぱり、確信犯め。

とりあえず早く終わらせようと、シャーペンを走らせた。


「先生、終わりました」
「お、早かったね、ありがとう」

先生は私から五線譜を受け取ると、大きい引き出しを開けた。しまうため…だと思うけど…

さりげなく引き出しの中に見える、手錠やムチ。

「あ、ごめんねー見えちゃったね」
「あ、い、いえ…」

…見せつけたな。

その珍しい道具に、さすがに目が離せなくなっていると

「何?気になるの?」

スイッチを押してしまったらしく、

素早い手つきで拘束された。

「え?!ちょっと待って?!」
「待たないよー!柊の物になったんでしょ?じゃあ、ますますちょっかい出したくなってきちゃった」

その、「柊の物」という言葉に赤くなっていると、先生は楽しそうに近づいてきた。

「何したい?痛いこと?楽しいこと?」
「いや!なにも!したくないです!!」

声が大きいよ、と口を塞がれ、助けを呼ぶことも出来ない。

やばいやばいやばい。
前のように噛まれるだけじゃ済まないかもしれない。

柊っ…!

「…可愛いなぁ、コレ見たら、柊どんな反応するんだろうね」

先生の笑顔に恐怖を覚える。