次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜

何それ。そんなの知らないよ。
私はぐっと拳を握りしめた。

「柊くんがあんたにゾッコンなのは知ってたけど、あんたが柊くんの気持ち踏みにじって先生に色目使ってるのも、気に入らなかった」
「え?その頃から柊は私の事好きだったの?」

知らなかったの?とでも言うふうに呆れた顔をする華ちゃんは、ため息混じりに言った。

「華は柊くんを諦めるから、あんたは柊くんを絶対幸せにしなさいよ!そうじゃなかったら華、許さないから」
「は、はい」

…華ちゃんはずっと柊の事好きだったんだ。大事に思ってて、だからはっきりしない私を…。

「華ちゃん!」
「…何よ」

私は急いで華ちゃんを呼び止めた。

華ちゃんは言いたいこと言ってたけど、私はまだ華ちゃんに伝えてない。

「コンクール、頑張ろう」

華ちゃんは驚いたような顔をして

少し笑って

拳を突き上げた。

「当たり前でしょ」

そして

一言吐き捨てるように言った。

「悪かったわね」


その場で口をあんぐり開けていると、志乃先輩がぽんと頭に手を置いた。

「華ちゃんね、中学のときいじめられてて、トランペットのマウスピースを捨てられちゃったの」
「え…?」

知らなかった。
そもそもいじめられてる過去があったのにあれ?

「でもね、絶対仕返ししなかったんだよあの子、マッピを捨てられたのに。すごいよね」

それはすごいと素直に思う。
私がスティック捨てられたりしてたら、多分ぶん殴りに行ってた。