次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜

「…柊?合奏に戻るけど、良いかな?」

先生は冷たい目で柊を見る。

「あ!良いよ!」

上機嫌で答える柊と、舌打ちをする先生。
うわぁ…。人の幸せ好きじゃなさそうだもんなぁ。

「はい、じゃあグロッケンのソロから。
渚ちゃん、ハイテンションで叩かないようにね」
「…すみません、はい」

今までにないくらい幸せな合奏は、私たち2人の元気で場に合わない音色を注意されまくりながら終わった。




「…おかっぱ、ちょっといい?」

くると思ったよ。
帰りのミーティングが終わって、舞奈と絵美子の元に行こうと思った時だった。
やっぱり華ちゃんは呼び止めてきた。

「なに?今度はどこに連れてくの?」
「別に連れてかないわよ、言いたいことあるからここで言うだけ」

いつもの取り巻きはいなく、珍しく1人だけで私の元に来た華ちゃんは、周りに聞こえるか聞こえないかくらいで言った。

「…華があんたのこと気に入らなかったのは、あんたが冷めてたからだから」
「え?柊のことじゃなくて?」
「あんた、言いたいこと言わないし、面倒だからって全部逃げようとするし」

それ、柊にも舞奈にも言われた。

もしかして、この癖って、色んな人に不信感を抱かせてたんじゃないだろうか。

「…でも、だからってあんなにいじめることないんじゃないの」
「それは…申し訳なかったと思ってる、でも、こうしたら柊くんへの本音が聞けるんじゃないかって思って…」