次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜

華ちゃんは掴みかかってる先輩の手を払い、言った。

「しょうがないですよ、私の方が先輩より上手かった、それだけでしょ?オーディションに、前にすっぽかしたとか言う行動面は関係ないですよね」

志乃先輩が割って入る。

「2人とも落ち着いて?華ちゃんの言い分もわかるけど…」
「分かるとかじゃないですよ、てか、さっき先輩、「私がどれだけ練習したか」って言ってましたけど、所詮その程度の練習だったってことでしょ?」
「華ちゃんっ!」

佐々木先輩が、華ちゃんの腕を掴んだ。

「その辺で止めときなよ、華ちゃん」

今まで見た事ないような複雑な表情を浮かべ、先輩は続けた。

「その程度とかなんとか、それは、大事な本番をすっぽかしたアンタが言えることじゃない」

佐々木先輩は華ちゃんの手を離すと、へたり込むトランペットの先輩の所にしゃがみ込んだ。

「今回は残念だったけど、それは華ちゃんが「上手い人」であんたが「そうじゃない人」だっただけ」
「さっ…佐々木…」
「ただそれだけの事、あんたが下手なんじゃなくて、あの子が上手かったんだよ」

それは認めようよ、と言って佐々木先輩はトランペットの先輩を抱きしめた。

「コンクールは皆で奏でるんだよ?こんなところで仲間割れしちゃダメ。頑張ろう」


落ちた人の心を代弁するように

外は雨が降っていた。

泣き声と嬉しそうな声が混じる音楽室で

「上手い人とそうじゃない人」と、

コンクールメンバーが決まった。