次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜

「それでは、オーディションの結果を発表します!」

滝野先生の一声で、場の空気がピンッと張り詰めた。

「それではまず、フルートから…1年麻生さん、1年栗山さん…」

その場でしゃがみこんでしまう人、飛び上がって喜んでる人。
その人たち全員が、オーディションの残酷さと自分たちの実力を物語っていた。

「トランペット…1年、水野 華さん」
「え?!」

周りの人がいっせいに華ちゃんの方を向いた。

花山南のオーディションの結果は、1、2、3とパートの中のさらに細かくわけたパートと言ったらいいか、その順に呼ばれる。

普通は歴の長い、吹き慣れている人が1をやる、そして結果発表では、1番に名前を呼ばれる。
つまり、オーディションにおいて、1年生が1を勝ち取る事は、そんなに頻繁に起こることではない。

まして、華ちゃんがトランペットを始めたのは中学からで、先輩は小5から。歴が長いのは先輩のほうだった。

華ちゃんが1を先輩から勝ち取れるなんて誰も思っていなかったのだ。

「なんでっ…」

トランペットの先輩は、泣きそうな顔をして華ちゃんに掴みかかった。

「なんでよ!私の方が上手いのに!!1を吹くべきなのに!!なんですっぽかしたアンタなんかに取られなきゃいけないの?!」

華ちゃんはなんとも思ってないのか平然と立っている。

「良いじゃないですか、2でも、コンクールに出られるんですから」
「ふざけないでよ!!私が1を吹くためにどれだけ頑張ったか知ってんの?!」