次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜

「渚ってそういうとこあるよねー、秘密主義というかなんと言うか…」
「え?」

舞奈はさらに続ける。

「大事なこと言ってくれないじゃない?不安なこととか、悩みとか」

確かに、柊にトラブルで床ドンされたとか、華ちゃんにいじめられてたとか、先生に襲われかけたとか
言ってないこと、たくさんあるかもしれない。

「心配かけたくないからって言いたくないのは分かるけどさ、たまには話してね?」

舞奈に言われて思い出す。そういえば、先生に襲われかけた時、柊にも同じようなことを言われた。

「…私って、人に頼れない性格なのかな…」

ぼそっと舞奈に尋ねると

「うーんどちらかと言えば?頼られる方だよね」

と言われた。

そうだよなぁ…。

このまま色んな感情溜め込んでたら、いつかパンクしそうで、ちょっと怖い。

かと言って舞奈に軽く話せる内容の話なんて無い。というか、話したら舞奈がパンクする、確実に。

「…うん、今はオーディションのことだけ考える」
「え?打楽器、オーディションあるんだっけ?」
「志乃先輩と私のやりたい楽器が被っちゃってね、1回オーディションすることになったの」
「そっかぁ!お互い頑張ろうね!」

舞奈はぱっと手を出した。私はそれを握る。

中学の時からの、勇気を出す儀式みたいなものだ。

「…がんばろーね、渚」
「うん」

そう、今はオーディションのことだけ考えればいい。