「…あー終わったー疲れたー」
バス停のベンチで足をぶらぶらさせる舞奈に、絵美子が声をかけた。
「舞奈ちゃん、あの、今日のソロ…良かったですよ…!ね、渚ちゃん…!」
「うん、同感」
「絵美子〜、渚〜!」
…相棒・柊へのこの胸のキュッて感じを、2人に相談するべきなんだろうか。
1人で抱えていけそうにないから、と、私は2人に打ち明けてみることにした。
「ねぇ、舞奈、絵美子」
「ん?」
「私ね、柊に「相棒」って言われたんだけど
嬉しかったの、でもなんかこう胸が…」
その話を聞いた途端、2人の疲労に満ちた瞳が、一瞬で輝いた。
「渚!それは!恋だよ!!」
「渚ちゃん…!ついに…!」
…恋?私が?柊に?
「嘘でしょ?!」
自分でも耳が壊れるんじゃないかと思うくらい大きな声が出てしまい、慌てて口を抑える。
「で、でも、きゅんとはしないし…」
「渚、それはマンガの読みすぎ」
「そ、そうですよ…!きゅんだけが恋じゃありません…!」
え、めっちゃ語るじゃん。
私は頭を抱える。
恋?こい?LOVE?!
「ね、混乱してるとこ悪いけど、首筋のキズパワーパッドみたいの、どしたの?」
「っ?!あ、これはえっと」
「…大きさ的に、何かに…噛まれた…とか」
絵美子の鋭さに血の気が失せた。
先生に噛まれました〜とか言えないし。
「…犬!ペットに噛まれて!」
「へぇー、ペットですか」
は?!
振り向くと、ベンチの後ろに先生が立っていた。
「あ、お疲れ様です!」
「お疲れ様今川さん、ソロ良かったですよ」

