次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜

私はとりあえず奪回策を練る。
どうやったら何事も無く逃げ切れるか。
面倒事には巻き込まれたくない。

「…色目なんて使ってないよ」
「は?!そんなんが通用すると思ってるわけ?華があんたのせいでどれだけ恥かいたか…!」

は?恥なんてかいてないじゃん、パンツ見えた以外。
て、そんなことは言わないでおく。

「とにかく!あんた、華の可愛さに嫉妬してんでしょ!!」
「してないよ」
「…ふーん、じゃ、いいわ、可愛くしてあげる」

待っていたかのように、取り巻きの1人が水の入ったバケツを持ってきた。
…うそでしょ?そんな漫画みたいなこと…

バシャッ

前髪から水が滴り落ちてくる。
今は5月。微妙な季節の水責めが1番寒い事は知っている。

「いいじゃーん!!水も滴るなんとやら!可愛いよ?あははは!」

楽しそうに笑う彼女と強ばった顔で笑う取り巻きたち。
可哀想になってくる。

その時、彼女たちの後ろに人影を見つけた。

(あれって…)

そんなことにも気づかず華ちゃんは続ける。

「じゃあ次はー」
「なにしてるの?」

華ちゃん一行は声のした方向に顔を向けた。

「…そっちこそ…なんでここに…」
「僕がここにいちゃいけませんか?」

華ちゃんは血の気の失せた顔でその名前を呼んだ。

「…滝野…先生」
「実は、音楽準備室の窓から君の立ってるそこ、ちょうど見えるんだ」

最後まで話を聞かずに、彼女たちは逃げていった。

先生は私の方に向かってきた。私は、多分ほっとしたんだろう、その場にへたり込んでいた。

「大丈夫?」

先生は私のそばにしゃがみこんで