砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~

家に着いた私は、スーツケースにありったけの服を詰めて、蓋を閉めた。

「ええっと、パスポート。」

前に友達と海外旅行に行った時に、パスポート取得していてよかった。

スーツケースを持って階段を降りると、母親がキッチンから顔を出した。

「あら、どこか旅行?」

何も知らない顔。

胸が痛い。

「お母さん。」

本当はこのまま言った方がいいんだろうか。

「どうしたの?」

でも、一生の別れになるかもしれないよね。

「私、好きな人がいるの。」

「そう。」

「それでね。」

涙が出てくる。

このまま、母親と会えないかもと思うと。

「その人、外国人なの。」

「えっ?」

「今から一緒に、その人の国に行くの。そのまま、結婚するかもしれない。」

母親は、口をポカンと開けていた。