「今日、国王に話しかけられたわ。」

「父王に?」

アムジャドは、私の隣に腰を降ろした。

「何か言われたのか?」

「いい身分だなって、言われた。」

アムジャドは首を傾げた。

「どういう意味だ?」

「一般庶民が、皇太子に意見を言うなんてって。」

アムジャドは、私を抱き寄せてくれた。

「ごめん、チナ。父王はこの国を守りたいだけなんだ。新しい法律にも、あまり興味はないらしい。先代の王から受け継いだこの国を無事、この僕に渡す事だけを考えているんだ。」

その考えも、決して間違っていないと思う。

国王にも信頼されているアムジャド。

皇太子として、これほど適任の人は、他にいないと思う。

「アムジャドは、どんな国にしていきたいの?」

「僕は、今よりもいい暮らしを、国民に与えられる王になりたい。その為には、新しい物も積極的に受け入れていくべきなんだ。」