「そんな!私はただ……」

「ただ何だ。この国の為を思ってとか言い出すのか。」

言葉もなかった。

確かにちょっと前に来た外国人に、自分の国の事を変えられたくないだろう。

「……申し訳ありませんでした。」

「分かればいい。」

国王が去った後、私は自分の部屋のベッドに寝転んだ。

自分が良かれと思った事が、返ってでしゃばりだと言われる。

世の中そんなものだ。

余計な事は言わない方がいいし、しない方がいい。

でも、本当にそれでいいの?

心臓の病を抱えたあの女の子の顔が浮かぶ。

最近、顔色が悪くなってきた。

また病状が悪化しているんだろう。

「死ぬのを待つだけの人生しか、この国にはないの?」

私はベッドのシーツを、ぐしゃっと握った。


その時だった。

仕事を終えたアムジャドが、部屋に来てくれた。

「チナ。何かあったのか?」

私はゆっくりと身体を起こした。