「懐かしい……日本で身体を壊した時、これを食べて元気が出た。」

次から次へとお粥をかき込むアムジャドを見て、ジャミレトさんは茫然としている。

「皇太子、勝者は?」

「勿論、チナだ。」

そして私達の女中達がやったやったと騒ぎ立てた。

「チナ様。勝ったご褒美に、何か望みはありますか?」

「いいえ。何も望みません。今のままで十分に幸せだから。」

そう言うとアムジャドが、私の元へやってきて、私を抱きかかえた。

「チナ、ありがとう。」

そしてアムジャドは、おでこにキスをしてくれた。

それを見たジャミレトさんは、怒って大広間を出て行ってしまった。

「僕を元気にする食べ物か。お粥もいいが、チナと一緒にいるのが、一番元気になる。」

その言葉が、私にとって一番のご褒美だった。