「ああ、そうだ。」

私は診療所の外に立っている女の子を見た。

ぼーっとしながら、私を見ている。

あの男の子といい、この女の子といい、ここでは現状が過酷過ぎる。

「でも、ここでは当たり前。救える命を救うって事ですよね。」

「おっ、千奈も少しは、分かるようになってきたか。」

私は、頬をピシャッと叩いて、次の患者さんを診た。

内科的治療を受けれる人は、ここでは幸せ。

外科的治療を受けなければならない人は、お金があればまだ不幸じゃない。

希望を持つ事だ。

救える命を救う。

ここでは、それが第一優先。


「顔つきが変わったな。」

土井先生は、患者さんを診ながらそう言った。

「私ですか?」

「他に誰がいる?」

私はふと津田先生を見た。

津田先生は、とっくの昔に顔つきが変わっていた。