「私をモルテザー王国のお抱え医師として、認めて頂きますか?」

私は真剣に、国王を見つめた。

国王も真剣な顔で、見つめ返してくる。

「それは、有難い申し出だ。」

「それでは?」

「いや、だがお抱え医師として認めるには、実績を見たい。Dr,ドイもお抱え医師になるのに、何年もかかった。」

私はゴクンと息を飲んだ。

「お抱え医師になるのは、アムジャドと結婚する事とはまた別だ。日本で頑張って、立派な医師になって来なさい。モルテザー王国は、立派な医師を歓迎する。」

国王は私に、手を差し伸べてくれた。

「国王……」

私はその手を両手で握り返した。


そして私は、モルテザー王国を発って、日本に帰国した。

立派な医師になって、再びモルテザー王国に行くと信じて。