【企画】溺愛するには不器用すぎる。





「お前なんかに華那を渡してたまるかよっ……」



「あはは、もしかして幼なじみくん? そんな怖い顔してどうしたの?」



今まで見たことのないぐらい怒った顔のしょーちゃんと、胸ぐらを掴まれてるのに爽やかに笑っている先輩。



「知ってんだよ、お前が華那のこともてあそぼうとしてるってこと」



「えっ……?」



私をもてあそぶ……?
どういうこと……っ?



「お前が友達と話してるの聞いたんだよ。華那は隣に置いておく分にはいいとか、ちょっと遊んでやろうとか。そんなの、俺がゆるさねーから」



先輩、そんなこと言ってたの……?
じゃあ仲良くしようとしてたのは、私をもてあそぶため?



じゃあしょーちゃんがさっき佐々木先輩に関わらない方がいいって言ったのは……。



「せ、せんぱっ……」



「あは、あはははっ……」



佐々木先輩は奇妙に笑い始める。



「そんな怒らなくてもいいんじゃない? オトして少しだけ味見しようかなって思ってただけだし」



「お前っ……」



「ま、バレちゃったら仕方ないね。楽しみはこれからだったんだけど……。じゃあね、華那ちゃん」



先輩はしょーちゃんの掴んでいた手を退けると、立ち去っていった。