しょーちゃんのことが好きだって、素直に全部話せたらいいのに……不器用な性格だから上手く伝えられないんだ。
しばらく走って疲れた私はだんだんとペースを落とす。
「華那ちゃん」
屋上の扉の前で聞き覚えのある声で名前を呼ばれ、慌ててこぼれた涙を拭う。
振り返ると、そこには佐々木先輩がいた。
「先輩っ……どうしたんですか、こんなところで」
「さっき華那ちゃん、俺の横通り過ぎて行ったでしょ? 全然俺に気付いてなかったけど……泣いてるように見えたから追いかけてきたんだ」
全然気づかなかった。
先輩に失礼なことしちゃったな。
「す、すみません……! もう、大丈夫なので……」
そう言って全力で笑って見せる。
すると、先輩は私の方に歩み寄ってきて、急に腕を引かれる。


