【企画】溺愛するには不器用すぎる。




――ブーブー。



ポケットのなかでスマホが震えた。
スマホを取り出し確認すると、佐々木先輩からのメッセージの通知がきていた。



《もし良かったら明日の放課後、2人でどこか行かない?》



明日の放課後……どこか行かない?
これってもしかして、デートのお誘い!?



いやいや、先輩も私もお互いのこと恋愛対象として見てないもんね。
先輩はただ単に、私と仲良くなるために誘ってくれてるのかな?



でも……、登下校はしょーちゃんとこうやって唯一長くいられる時間だし……。
どうしよう。



「華那? どうかしたか?」



スマホの画面とにらめっこする私に気がついたしょーちゃんが声をかけてくる。



「ううん! どうもしないんだけど……実は佐々木先輩に明日の放課後どこか行こうって誘いがきちゃって」



「なに、あの先輩と連絡先交換したのかよ」



少し険しい表情になるしょーちゃん。



「うん、今日たまたま廊下で出会って……」



『他の男と出かけんなよ』とか、言ってくれたりしないかなあ……。
なんて、ベタな妄想をする私。