【企画】溺愛するには不器用すぎる。




「華那」



いつものように、帰る準備ができたしょーちゃんが声をかけてくる。



しょーちゃんに、華那って名前を呼ばれるのが毎回嬉しいっていうのは私だけのヒミツ。



「しょーちゃん、おまたせ!」



「帰るぞ」



「うん!」



カバンを持って、大きなしょーちゃんの背中に着いていく。
この後ろ姿も大好きなんだ。



小さい頃から私はしょーちゃんの後ろを着いて歩いていた。
身長なんて小さい頃はほとんど変わらなかったのに。



今では20センチ以上はしょーちゃんの方が高い。
あんなに小さかった背中も、今ではこんなに大きくてたくましい。



「華那、あんまりのんびり歩いていると置いていくぞ」



「待ってよ〜……!」



そんなイジワルを言いながらも、私にいつも歩幅を合わせてくれていること、私は知ってる。
しょーちゃんは誰よりも優しいカッコいい私の王子様なんだ。