【企画】溺愛するには不器用すぎる。





「全く、2人とも臆病なんだから……」



ミカちゃんが呆れたようにため息をつく。
私は確かに臆病だけど、2人ともってどういう意味だろう。
……まあいいや。



私はそこまで深く考えなかった。



「ちょっと私トイレ行ってくるね」



「いってらっしゃい」



急にトイレに行きたくなって席を立つ。
ミカちゃんに見送られ、教室を出た。



そしてトイレのすぐ近くまできたところで、



「華那ちゃん!」



と、呼ぶ声がした。
振り返ると、佐々木先輩がこちらに笑顔で手を振っていた。



「さ、佐々木先輩!」



「昨日ぶりだね」



今日も爽やかな笑顔で、その笑顔だけで風が吹いてきそうな感じがする。