「華那、セーフじゃないわよ」



「だって約束の3分まだ過ぎてないもん!」



「翔騎くんを毎日毎日待たせて……」



……全く、屁理屈(へりくつ)言うところが華那らしい。



「もー、そんな怒らなくてもいいじゃん! しょーちゃん、行こ!」



ほっぺたを膨らませて、靴を履くと玄関のドアを開く。



「……じゃあおばさん、行ってきます」



「2人とも気をつけてね」



おばさんに手を振って、2人で肩を並べて学校へ向かう。



「……ほんと、華那って朝弱いよな」



「だって〜……目覚まし鳴ってもまぶたが重くて開かないんだもん……」



拗ねたように口を尖らせるのは、麻倉(あさくら)華那(かな)
とにかく朝に弱い。
ほぼ毎日ギリギリまで寝て、俺が迎えに行く頃にはバタバタしている。