「五人に一人だよ」

「五人に一人!?大変なことの方が多い?」

「そうだね〜……。音や光に敏感だから、大きな物音や大声を聞くと驚いたり気分が悪くなったりするし、新しい環境に慣れにくいから慣れるまで三ヶ月かかった時もあるよ。心を落ち着かせるために耳栓は欠かせない」

話を聞けば聞くほど大変そうだと健斗は思う。しかし、いいこともあるらしい。女子はニコリと笑った。

「HSPの人ってね、人のちょっとした動作や表情でその人の感情がわかったりするんだ。そう言う意味では空気が読めるってことで役に立っているかも。あとは、感受性が豊かで人の感情に共感できたりするんだ」

「へえ〜。じゃあ、俺の感情もわかるってこと?」

「そう言うこと!」

女子はニコリと笑う。その顔に可愛いなと健斗は頰を赤く染めた。そして、「俺は月崎健斗。君は?」と訊ねる。もっと関わりたくなった。

「田島澪」

美しい名前が似合うほど、澪は美しい笑顔を見せてくれた。



それから時は流れ、今に至る。健斗は猛アプローチをして澪と付き合うことになった。

「今日は映画借りて来た。ミステリー」

「暴力的なシーンはない?」