【修正版】クールで無表情な同期が十年間恋情を患っていた理由

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「………ありがとう。」

そのまま半ば強引に手を引いた僕は、エレベーターを降りて、彼女を下の階にある自宅に招き入れた。温かいココアを勧めると彼女はそれを虚ろに見つめたままポツリとつぶやく。

目の前にいるのに、どこかおぼろげ。今にも消えてしまいそうだ。

隣に腰を下ろし、そっと問いかける。

「それで…………何があったの? 言いたくなかったらいいけど。 会社はいきなり退職するし、連絡はつながらないし…。屋上でタバコ吸ってたら、フェンスを乗り越えて、とびおりようなんてして――」

つい矢継ぎ早に疑問を連ねてしまうと、さらに黙り込む彼女。