「でもね、私が好きになったのは彼だから」 「……」 「どんなにダメな人でも…最低でも…何故か嫌いになんてなれないんだよ。バカだよね」 自分から聞いておきながら、滅多刺しにされた気分だ。 そして、ここまできても諦められない僕も、大概バカ野郎だと心で嘲笑う。 気まずくなるくらいなら、明日からも彼女に笑いかけてもらえる、同期という関係から抜け出すことができない。 ここは――彼女を傍で見守ることのできる、最高に割のいい、生ぬるいポジションだから。