逃げるようにして、立ち上がろうとした彼女の腕を掴み、僕も腰を浮かせる。 「――カッコ悪くないよ」 「………え?」 「諦めが悪くて、何が悪いの?」 途端に、大きな二重まぶたが、大きく見開かれる。 「誰だって、譲れないものはあるし。見返りを求める事だって当たり前じゃない? 相手のことが、好きなんだから」 「富丘くん……」 「君は……間違えてないよ。ただ…頑張りすぎだから、無理はしないで」 僕はつい言っていた。