「もう、何者か知らなくてもいいわ。全てわかったから。だから尚更水無月くんの家には行けない。」
だって…水無月くんの家に行ってしまえば、私は認めたも同然になる。
「ふーん…そっか。わかっちゃったか〜…。残念。」
全然残念がってないわね。
それに、なんか嫌な予感もするし…。
私は、水無月くんから数歩距離を開けた。
「なんで逃げるの?あ〜、察しちゃった?」
水無月くんはすごい笑顔で私に近づいてくる。
それが、今は怖い。
黒いオーラが水無月くんの周りに漂っている。
私は、水無月くんが1歩近づいてくる度に、1歩下がった。
でもそれは、限度がある。
しばらくして、私は屋上のフェンスに背中がついてしまった。
逃げ場が!?
私が動けなくなったのをいいことに、水無月くんはどんどん近づいてきて、ついには私の目の前に到着してしまった。
…っ!!
「もう逃げられないよ?音川さん。」
どうしよう…。このままだと、水無月くんに、強制連行される。
考えに考えた末に、いいことを思いついた。
私の考えが正しければ…。
『桜!至急お願いできるかしら?』
『りょーかい!』
「じゃあ行こっか!」
水無月くんに手を掴まれ、強制的に水無月くんの家に行くことになった。
お願い!桜!間に合って!
