奇跡を起こした12の月光




「もう、何者か知らなくてもいいわ。全てわかったから。だから尚更水無月くんの家には行けない。」



だって…水無月くんの家に行ってしまえば、私は認めたも同然になる。



「ふーん…そっか。わかっちゃったか〜…。残念。」



全然残念がってないわね。



それに、なんか嫌な予感もするし…。



私は、水無月くんから数歩距離を開けた。



「なんで逃げるの?あ〜、察しちゃった?」



水無月くんはすごい笑顔で私に近づいてくる。



それが、今は怖い。



黒いオーラが水無月くんの周りに漂っている。



私は、水無月くんが1歩近づいてくる度に、1歩下がった。



でもそれは、限度がある。



しばらくして、私は屋上のフェンスに背中がついてしまった。



逃げ場が!?



私が動けなくなったのをいいことに、水無月くんはどんどん近づいてきて、ついには私の目の前に到着してしまった。



…っ!!



「もう逃げられないよ?音川さん。」



どうしよう…。このままだと、水無月くんに、強制連行される。



考えに考えた末に、いいことを思いついた。



私の考えが正しければ…。



『桜!至急お願いできるかしら?』



『りょーかい!』



「じゃあ行こっか!」



水無月くんに手を掴まれ、強制的に水無月くんの家に行くことになった。



お願い!桜!間に合って!