聞かれたくないのに、ここで話す必要ある?
「ねぇ、音川さんってほんとに何者なの?調べても厳重ロックかかってるんだけど?」
話し方が変わった。
そんなに気になるの?私のこと。
この前、何者でもないって言ったじゃない。
それに、調べたの絶対あなたじゃないでしょ?
誰かにやって貰ったのね。
そう考えれば、水無月くんこそ何者よ。
「そっちこそ。」
私はあえて質問には答えず、逆に質問した。
「人に聞く前に、まずは自分から言うのが礼儀じゃなくて?」
「それは言えないね…てか、俺の事知らないの?」
知るわけないじゃない。
私は、他人に興味はないのよ。
「知るわけないって顔してるね!この学園にいる生徒ならほとんど俺のこと知ってるよ?」
へ〜…そりゃ良かったですね。
「なら教えてよ。学園に通ってる生徒ほとんどあなたのこと知ってるのでしょ?
なら隠す必要ないじゃない。」
そうよ。今更隠したとて、私が水無月くん以外に聞けば分かることよ。
「お前、誰かに俺の事聞けるのか?Sクラスの人なら、全員俺のこと知ってるから逆に知らないあんたのこと不思議がるんじゃない?」
そう言われたら、反論できない。
まぁいいわ。どうせそのうち愁雨が調べて教えてくれるわよ。
「もういいわ。あなたが教えてくれないなら、私も教えないだけよ。」
水無月くんにそう返したところで、足音が聞こえた。
誰か起きてきたのね。
「ねぇ、そろそろ離れてくれない?」
水無月くんにそういうと、彼は大人しく離れて、リビングに戻って行った。
