~side愛斗~
「音川 弥生…ねぇ〜……」
あいつは一体何者なんだ?
俺がそう感じたのは、あいつを初めて見た日…即ち入学式のこと。
新入生代表として上がって来たあいつ、第一印象は、クールな女だった。
だが、教室に入ってから、体育館よりも近くで見てみると、想像以上にきれいな顔立ちをしていた。
くっきり二重に、ぱっちりとした目。
鼻はすっと通っていて、ぷっくりと膨らんだ桜色の唇。
顔は本当に小さくて、スタイル抜群だった。
それにプラス頭までいいとか…。
俺は、中等部までは、筆記も、実技もいつも成績はトップだった。
それに、自分で言うのもあれだけど、顔はだいぶ整っていて、運動神経もいいので、正直モテていた。
毎日のように、呼び出されては告られていた。
そんな自分が人生で初めて、他人に負けたような気がした。
高等部から、ふらっと出てきて一瞬にして俺の座を奪っていった。
まぁ、相手は女だから、奪われたのは、1位の座だけだけどな。
そんな女に俺は興味が沸いた。
だから、すぐに自分の専属の使用人・蒔羅(シラ)に、あいつのことを調べてもらった。
蒔羅は、とても優秀な人だった。
蒔羅に一言いえば、早急に対処してくれるし、蒔羅に調べられないものはないと言っていいほど、優秀かつ忠実な使用人だった。
その蒔羅でさえも調べられなかったらしい。
なにも、音川弥生のデータには全てロックがかかっていたという。
それも615桁のパスワードが付いていたという。
俺はこの時から、あいつは何者なのかという疑問があった。
俺は、蒔羅にお礼を言って、考えた。
蒔羅が無理だったなら、直接聞くしかないな。
そう決意して、俺はチャンスを伺った。
あいつは警戒心が強かった。
