奇跡を起こした12の月光





何より、楽しそうな愛斗の顔が何よりの証拠だ。



「愛斗のバカ」



「なぁに?弥生ちゃん。そんなに俺にキスされたいの?生意気なその口塞いであげる。」



そういうと、再びキスをしてくる愛斗。



今度は、さっきよりも長い。



息が続かなくなって、愛斗の胸をドンドン叩くと、やっと離れてくれた。



酸素がやっと入ってきてくれて、ほっと一息。



私は、愛斗から顔を背けた。



「あれ?弥生怒った?」




あえて聞かぬふりをして、中庭を出ていこうとする。



「あっ、ちょっとまって!ごめんって!やりすぎた。」



愛斗は私の前に出てきて、頭を下げた。



「…ホントだよ。次やったら、婚約解消だからね!」



私は、ぷいっと斜め上に顔を背けた。



「はい、ごめんなさい。」



「しょうがないから、今回は許してあげる。」



私は、そういうと、愛斗の隣に行って、彼の手を取った。



「早く行くよ。」



私は彼の手を引っ張って校舎へと歩いていった。



すると、愛斗は嬉しそうな顔をした。




「手は、こうな。」



そう言って、変わった繋ぎ方。



いわゆる恋人繋ぎだ。