奇跡を起こした12の月光




私は愛斗をジト目で睨む。



「ククッ、ごめんごめん。赤くなってる弥生が可愛くて…ククッ…」



そう言いながらも未だ笑っている愛斗。



「んで?いいの?嫌なの?」



無理強いはしないよ。



そう言ってくれる愛斗は、本当に優しいと思う。



私の気持ちを尊重しようとしてくれている。



そんな彼だから私はなんでも許してしまいそうになる。



「………いいよ…。」



私は俯きながらぼそっと言った。



あんなに小さな声でも拾ってくれたようで、愛斗は目を見開いた。



けれど、それも一瞬。



次の瞬間には、唇に柔らかい何かが当っていた。



目の前には愛斗の顔がドアップに写っている。



キス、してる…。



体感は、長く感じたけれど、実際は軽く触れただけだった。



「やべぇ、毎日したくなりそう…」



毎日?!



「…それは……ちょっと。恥ずかしいというか、なんというか……」



「なぁに?聞こえなかった。」



嘘つき!



絶対聞こえてた!



さっきは小さな声聞こえてたのに、今聞こえなかったはずがない。