私は、頬の熱を冷ますように駆け足で噴水前の椅子まで向かった。
「それで?なにか話があるんだったわよね?わざわざ中庭に連れ出してまでの」
私は、つい先程まで感じていた恥ずかしさを隠すように、ツンとした口調で愛斗に尋ねた。
「あ〜、うん。」
そう言いながら彼は私の隣の椅子に座ってきた。
もう少し広い長椅子なはずなのに、肩と肩が触れるか触れないかの絶妙な位置だった。
何よ、さっきまでよく分からない行動を涼しい顔でしてたのに急に大人しくなって…。
私は何故か俯いている彼の顔を覗き込むようにして見つめた。
「さっきまでの調子はどうなったのよ。」
愛斗が緊張しているとこっちまでソワソワしてくる。
早くして欲しい。
このどことなく気まずい空気は困る。
「実は、改めて、弥生に伝えたいことがあったんだ。」
そういうと彼はずっと顔をあげて、私としっかりと目を合わせてきた。
あまりに真剣な表情に、自分の鼓動が早くなるのを感じた。
「……だ。」
「ん?」
今なんて言ったのかしら?
聞き取れなかったわ。
