奇跡を起こした12の月光




むぅと頬を膨らませ、拗ねると愛斗に潰された。



「クククッ…タコみたい」



私の頬を片手で潰しながら愛斗は笑う。




「わりゃわにゃいで!あと、はにゃしてよ」



上手く発音できない口を何とか動かして愛斗に言う。



愛斗は素直に手を離してくれた。



「で?どうしてなのよ?」



私は潰されて少し赤くなった頬を擦りながら聞く。



「どうしてって、弥生に話したいことがあるから」



さも、当然でしょ?



とでも言うように彼はニコリと笑う。



ついでに、もちろんいいよね?という顔をする。



「はぁ、空いてるからいいわよ。」



渋々ながら私はそう言った。



なんの話しなんだろうな…



「あっ、愛斗くん〜!弥生ちゃん〜!もう、片付けしたら帰っていーよー!」



新さんの言葉に私は考えるのをやめて、はーいと返事をして、片付けを始めた。



なんの話なのかは明後日わかるだろうし!



今は、片付けをしないと…



私は、魔法で掃除を始めたのだった。



明日ある文化祭の楽しみと、明後日の演劇の不安と後夜祭の約束への謎の気持ちを抱えながら…