奇跡を起こした12の月光




学校が終われば誰よりも早く来て、心配をしてくれる。



少し部屋を出ようとしても、必ずどこに行くのか聞いてきた。



私を思ってのことだろうけど、少しめんどくさかった。



退院の日なんかは、学校すら休んで私の方に来て、寮の部屋まで送ってくれた。



桜がいるから大丈夫とは言っても、俺も行くって聞かない。



窮屈極まりないわ。



学校では、何かと付きまとってくる。



ここまで来ればもう、ストーカーも同然よ。



婚約者じゃなかったら捕まってたわよ。



そんなことを思いつつ、そこまで嫌ではない私がいる。



なぜなのかしら…?



「弥生、後夜祭の時間空いてる?」



そんなことを考えていたら、愛斗がふと聞いてきた。



はい…?



私たちの学校は、1日目に教室展示、2日目に舞台発表と、2日間ある。



2日目の最後の大トリがSクラスの発表である。



そして、後夜祭は最終日(2日目)全て終わったあとに開催される。



「空いてるけど…」



なんで急に聞いてきたんだろう…



「なんでって顔してるね」



クスッと笑いながら愛斗は言う。



なによ、笑わなくてもいいじゃない!