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目を覚ましてから2ヶ月の時間が経った。
私は絶賛明後日の学園祭の劇の練習に追われている。
桜のおかげで1ヶ月半という早さで退院出来た。
ほんとに、桜には頭が上がらない。
いつも私を助けてくれるんだから。
劇も最初はみんなに心配されていた。
けれど、私がやりたいと言ったら無理はしないことを条件に承諾してくれた。
今は、リハーサルをしている。
最後の最後まで、しっかりと。
長月ちゃんと、新さんの本当に最後の学園祭だから、みんないつもよりやる気に満ちている。
長月ちゃんたちの方を見ると、さっきまでやっていたのに主役なのもあり、まだ練習している。
私も、半月しか練習をしていないから、正直心配だ。
成功、するといいな〜。
「弥生なら大丈夫だよ。」
────ドキッ
ふわりと香る柑橘系の香り。
最近の私を悩ませている原因でもある彼の香りだ。
「愛斗…」
入院中何かと気にかけてくれた愛斗。
というか、もう、あれは保護者なのでは?と疑いたくなった。