奇跡を起こした12の月光




帰る頃には葉月達が涙目になっていることがよくある。




みんな、それほど弥生のことが心配で、弥生がいないと寂しい。



そんなふうに思ってる。



「今日も、まだ目を覚まさないのかな…」



弥生に会いに来て、はや1時間が経とうとしている。



大学は基本自己責任で、休みや早退をしても何も言われない。



成績さえ良ければ、単位さえしっかり取っていれば何も言われない。



もし落としても、それは自分が悪いという解釈だ。



だから、毎日のようにお昼前には全ての講義を終わらせて、こうして弥生の所へ通っている。



「早く、弥生ちゃんの声が聞きたいよ…」



皐月の悲痛なその叫びは、病室内にいる人たちの涙を誘った。