奇跡を起こした12の月光




『愛斗、行かなくては行けないところがあるのではないか?』



その言葉に俺は驚いた。



愛は眠っていたから、その話は知らない。



『何故って顔してるぞ。愛斗と、俺はパートナーだ。そのくらい分かる。それに、この部屋に桜はいないしな。』



さすが愛だ。



俺の一番の理解者なだけある。



「愛には適わないよ。少し行ってくる。帰りにまた寄る。」



それだけを言って、ほかの目を覚ましたペット達とそのパートナーの久しぶりの会話をしている姿を横目に俺は、弥生の部屋へと向かった。






彼女の病室の前に着くと、ひとつ深呼吸をして中へ入った。




すると、見知った顔の男女が部屋にいた。



誰もいないつもりで入ったのでノックをするのを忘れていた。



「申し訳ありません。ノックもせずに…」



俺は目の前の2人に頭を下げた。



「愛斗くん。頭を上げて。いいのよ、ノックくらい。ねぇ?李桃」



「あぁ、椿の言う通りだ。」



部屋にいたのは弥生のご両親だった。



『あい、とくん?』



その声に俺はハッとした。