『愛斗、行かなくては行けないところがあるのではないか?』
その言葉に俺は驚いた。
愛は眠っていたから、その話は知らない。
『何故って顔してるぞ。愛斗と、俺はパートナーだ。そのくらい分かる。それに、この部屋に桜はいないしな。』
さすが愛だ。
俺の一番の理解者なだけある。
「愛には適わないよ。少し行ってくる。帰りにまた寄る。」
それだけを言って、ほかの目を覚ましたペット達とそのパートナーの久しぶりの会話をしている姿を横目に俺は、弥生の部屋へと向かった。
彼女の病室の前に着くと、ひとつ深呼吸をして中へ入った。
すると、見知った顔の男女が部屋にいた。
誰もいないつもりで入ったのでノックをするのを忘れていた。
「申し訳ありません。ノックもせずに…」
俺は目の前の2人に頭を下げた。
「愛斗くん。頭を上げて。いいのよ、ノックくらい。ねぇ?李桃」
「あぁ、椿の言う通りだ。」
部屋にいたのは弥生のご両親だった。
『あい、とくん?』
その声に俺はハッとした。
