~愛斗side~
嘘だろ…
弥生が、目を覚ましてない…?
父さんの言った言葉が俺には信じるのに時間がかかった。
「弥生……。なんで目、覚ましてないんだよ。」
「愛斗…」
母さんは俺に近づき、震える身体で抱きしめた。
母さんも、こんなに悲しいし、不安なんだ。
母さんでさえこんなんなのに、弥生の家族はどんな気持ちなんだろうか。
俺には、その疑問だけが胸に残った。
それから弥生たちは目を覚まさないまま、1年半の年月がたった。
あれから俺たち11人は徐々に回復していき、日常生活に不自由なく再び暮らせるようになった。
学園にも再び通いだした。
だが、眠っていた間に新先輩と長月先輩は卒業を迎え、そこから更に1年後には睦月先輩、黒矢先輩、七夕先輩、霜月先輩が卒業を迎えた。
3年生のSクラスの2人は、回復した後、卒業式を簡易的に行った。
学園を終えた俺は今、大事なパートナーの2人に会いに行っている途中だ。
あれからもずっと眠り続けている弥生と、愛。
そろそろ起きて欲しいと願わずにはいられなかった。
