奇跡を起こした12の月光



~愛斗side~


嘘だろ…



弥生が、目を覚ましてない…?



父さんの言った言葉が俺には信じるのに時間がかかった。



「弥生……。なんで目、覚ましてないんだよ。」



「愛斗…」



母さんは俺に近づき、震える身体で抱きしめた。



母さんも、こんなに悲しいし、不安なんだ。



母さんでさえこんなんなのに、弥生の家族はどんな気持ちなんだろうか。



俺には、その疑問だけが胸に残った。






それから弥生たちは目を覚まさないまま、1年半の年月がたった。



あれから俺たち11人は徐々に回復していき、日常生活に不自由なく再び暮らせるようになった。



学園にも再び通いだした。



だが、眠っていた間に新先輩と長月先輩は卒業を迎え、そこから更に1年後には睦月先輩、黒矢先輩、七夕先輩、霜月先輩が卒業を迎えた。



3年生のSクラスの2人は、回復した後、卒業式を簡易的に行った。





学園を終えた俺は今、大事なパートナーの2人に会いに行っている途中だ。



あれからもずっと眠り続けている弥生と、愛。



そろそろ起きて欲しいと願わずにはいられなかった。