奇跡を起こした12の月光




伝えていいの?



元はと言えば、この件は私が生まれたことによるもの。



生まれてきただけでも、ただでさえ迷惑かけているのに…



これ以上迷惑かけたくない。



だから私は今まで魔法の練習を頑張ってきた。



みんなの力を借りるのは、ホントのホントに最後の手段だって。



私ひとりで何か出来ることではない…



でも、どうしても…



この大災厄は死者が出る可能性が高い。



桜には協力してもらうけど…



死者は出したくない…。



絶対に!



「……言わない。直前までは…。それに、私の最後の秘密、本当の姿見してないし、こんな大災厄が起こることなんてみんな知らないもの。余計な心配かけたくない…」



何より、明後日は学園祭。



なんとしてでも、学園祭はみんな参加して欲しい。



長月ちゃんや、新さんにとっては最後の学園祭だもの。



隣からはため息が聞こえた。



『何も伝えて貰えない方がよっぽど辛いわよ。』



そんなこと、わかってる!



ただの自己満足だってこともわかってるわよ!



「これは、12人揃わないと絶対に終わらない大災厄。みんなには最後の最後だけやってもらえばいい。もちろん桜にだって迷惑かけないようにするわ──」



『いい加減にして!』