奇跡を起こした12の月光





「……い…ょぃ……弥生。」



ん…?



この声は…葉月……?



「……は、づき…?」



「えぇそうよ。それに皐月もいるわよ。」



私はちらっと葉月の隣へと目を向けた。



あっ、ほんとだ…。



はぁ、このくらい前の私なら余裕で気づけていたのに…



やっぱり早く治さないと…



「やっほ〜!愛斗くんから聞いたわ、体調はどう?」



「うん、スッキリしたわ。」



あれはやっぱり一時的なものだったのかしら?



それとも、夢の影響がなくなりつつあるのかしら…



まぁ、どっちにしたってこれからこんなことは起こって欲しくない…。



正直に言ってすごく沈む…



空気も気持も…



はぁ…



私はため息をついた。



「あのね弥生ちゃん!学園祭ね、うちのクラスからは演劇を候補としてあげといたよ!弥生ちゃんはそれで大丈夫?決まってるのに聞くのもあれだけど…」



演劇かぁ…



それくらいなら私は裏方の方に回れると思うし…



「大丈夫よ。ごめんなさい、今日行けなくて…」



「何言ってるのよ、弥生は。体調が悪いのに無理してこなくていいわ。」



「うんうん!でも、体調が悪いなら言って欲しいな〜…」



ダメ?と上目遣いで聞いてくる皐月。



それは反則です…皐月さん…



女の私でもドキッとしてしまうのだから…



「気をつけるわ。」



私は呟くようにして言った。



「あっ!そろそろ下に行かないとご飯食べ損ねちゃう!弥生ちゃんは食べれそう?」



う〜ん…



今は少し落ち着いてるし…



私は少しだけならと皐月に言って3人でリビングへと向かっていった。



リビングへつくと、いい匂いがした。



「おまたせ!!すごーい!愛斗くんがこれ全部作ったんだよね?!」



皐月のキラキラした声が聞こえた。