奇跡を起こした12の月光





『あら…フフッ。それじゃあここは水無月くんに任せようかしら?よろしくね。』



「はい。」



桜は元の姿に戻って弥生の部屋を出ていった。



────パタン



「…あ、愛斗?あの…そろそろ離れてくれないかしら?」



?!



やべ…まだ弥生を抱きしめていたままだった。



「ご、ごめん。」



「あ、ううん。別に、大丈夫だよ。それより、桜と彩雨さんから何か聞いたわよね…?」



「うん。勝手に聞いてごめん。聞いて思ったよ。俺、なんにも弥生にできることないじゃんって…」



「…がう……ちがう…愛斗はちゃんと…。」



弥生……



「うん。でもね、桜にも彩雨さんにも言われたよ。そんなことないって。なぁ、ほんとに俺って弥生の役に立ててる?支えになれてる?」



2人から言葉でちゃんと聞いたのに、自信がなくなって弥生にも聞いた。



今までで1番自信喪失してるかもしれないな…



情けない…



俺は心の中でそんな自分を嘲笑った。



「……愛斗は…愛斗はちゃんと私の事支えてくれてるよ。それに、葉月も、皐月も、神無月くんも、如月くんも。ここまで私の事心配してくれて、そして助けてくれて…そんなみんなにいっつも感謝してるの…。」



弥生……



そっか…俺、弥生の役に立ててるんだ。



今初めて自分に自信が戻ってきた。



そして、心の底から暖かい気持ちになれた。