奇跡を起こした12の月光





────コンコン



『はい。』



桜の声だ…。



桜は大丈夫なのか?



「愛斗です。」



『どうぞ。』



「失礼します。」



俺は目の前のドアを開けた。



すると、そこには見たことの無い、かわいい女の子がいた。



…は?



誰だ…?



『水無月くん、いらっしゃい。ここの場所は…彩雨さんにでも聞いたのかしら?』



フフッと笑う女の子。



声が……桜だ。



「桜…なのか?」



『えぇ、そうよ。それより、弥生に会いに来たのでしょう?なら、こっち。』


女の子…もとい、桜は俺を弥生の所へと連れていってくれた。



目の前のベッドで眠っている彼女…



「なぁ、桜は大丈夫なのか?弥生、倒れそうになったんだよな?でも、桜はこんなに元気…」



『私にも分からないわ…ただ、言えるのは、弥生のなにかの魔法で私が倒れないようにした…ということくらいかしら?』



……は…?



そんな魔法、なかったはずだよな…?



なのに、どうして…。



『不思議な顔をしているわね。この子が特別な子っていうのはさっき彩雨さんに聞いたかしら?』



俺は桜の言葉に頷いた。



桜はなんでも分かるのか?



この2人…ほんとにすごい…。



『その顔は当たっているのね。』



フフッと桜は笑った。