「えぇ。この国にとってすごく重要な子供なのよ。そして、あなたに課せられた残酷な運命はどうすることも出来ないの…」
「残酷な運命……どうすることもできない…?」
お嬢様はそこで泣き出してしまったわ。
「えぇ、弥生…。ごめんなさい…。ちゃんと説明するわ、あなたに課せられた、その運命を────」
自分の身に課せられた残酷な運命……そして、国にとって重要な子供。
まだ5歳の彼女が背負うにはとても大きすぎることだった。
そこからよ、弥生お嬢様が人形みたいになってしまったのは。
運命のことについてお母様の椿様から聞いたあとのお嬢様はもう、泣き止んでいたわ。
そして、言ったの…
「私は、強くなりたい…。みんなを守れるように…。」
まだ5歳の幼い子供が酷く大きな運命をこんなに簡単に受け入れることなんてできない。
きっと心の中で色々と格闘して、そして……この運命のために、自分の感情を心の扉の中へ押し込んだ。
周りとの関わりをあまり持たないように…
自分の運命に他人を巻き込んでしまわないように…
