彼女は物心ついた頃から言われたことはしっかりと完璧にこなしてしまう子供でした。
弱音は吐かず、人に甘えたりもしない、あまり感情を出したりもしませんでした。
それでも、絶えず彼女の周りには綺麗な笑顔の花が咲いていました。
しかし、それはほんとに数年だけのこと、彼女はある時を堺に全く笑わなくなってしまい、言われたことを淡々とこなす、人形のようになってしまったのです。
それは、10年ほど前のことでした。
彼女がまだ初等部に入るか迷っているときのこと。
「弥生〜、あなたは学校に行ってみたい?」
「ううん、私は今のままでいいよ!それに、私他の子と少し違う気がするから…。」
小さい頃から賢い子供だったお嬢様は薄々勘づいていたのでしょう。
自分が他の子とは違うこと。
そして、未来のこと…
「お母様、私はほかのことは違うのでしょう?それに、私夢を見るの。この先の…私の…未来の、夢…」
「弥生…」
お嬢様は魔法が全種類使えたり、魔力が強いだけではなく……
いや、魔力が強いからかもしれない…
時々、未来のことを夢に見る性質の持ち主だった。
「そうね…いつか、あなたに話さないといけないことよね…。弥生、あなたは5000年に1人生まれるという大きな、そして残酷な運命を背負った女の子なのよ。」
「5000年に、1人……?」
