~彩雨side~
弥生お嬢様…
そうとう限界でしたのね…
私は家に戻ろうとする愛斗様を呼び止めた。
「愛斗様。今よろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です。」
「では、こちらへ。」
これは私が言ってもいいのか分からないけど…
でも、愛斗様には伝えなくてはいけないと…私の心が言っている。
私は彼を連れてある部屋へと向かった。
「ここは…?」
「私達使用人が休憩する場所です。すみません、こんな所に連れてきてしまって…。」
いくら場所がないからって、ここはないわよね。
No.2貴族のご子息水無月 愛斗様なんだから。
「いいえ、大丈夫です。それで、話とは?」
そうでしたわね…
「話とは弥生お嬢様のことです。」
「弥生のこと…ですか?」
「はい。愛斗様と出会われて、お嬢様はほんとにお変わりになられました。以前まではほんとに笑わない、子供でした。」
愛斗様が息を飲むのがわかる。
真剣に聞いてくださるのね…。
「そうそれは、まるでなんの感情も持たない、言われたことだけをやるお人形みたいな子でした。」
「人形…」
「はい、ここからは長くなると思いますが、聞いてくださいますか?」
私は愛斗様頑張れ頷いたのを確認し、弥生お嬢様の過去について話し始めた──…