奇跡を起こした12の月光





「…と」



「ん?何、聞こえない。」



うぅ…



もう!



「愛斗!」



半分やけくそだった。



呼んだからすぐに離れてくれるのかと思いきや、何故か目の前が真っ暗になった。



ぇ、えっ?



どんな状況?



わたし、水無月くんに抱きしめられてる…?



今の状況を理解したら急にぶわっと恥ずかしさが襲ってきた。



「ちょっ!離れて!呼んだら離れてくれるって言ったじゃない!」



「…むり。ダメだ。もう少しだけ、許して。」



ちょっ!



私の返事も聞かずにさっきよりも強く抱きしめられた。



もう、今日の水無月くんほんとにわかんない!



「離れてよ!」



「うるさい。みんな起きちゃうよ?」



うるさいじゃないし…!



これなんの仕打ち?



私なにかしちゃった?



何もしてないよね…?



私は1人で自問自答していた。



しばらくして水無月くんがやっと離してくれた。



私はサッと水無月くんから距離をとった。



「何するのよ!」



「弥生が可愛すぎるのが悪い。」



はぁ?何言ってるのかほんとにわかんない!



それに弥生ってまだ呼んでるし…!



まぁ、それはまだいいけど…!



「…て。」



「…ん?」



「出てって!桜、水無月くんを頼んだわ。私は奥の部屋行ってる。」



私は桜に水無月くんを任して1番奥の部屋に行った。